2011年2月12日

ヒュンダイが再びWRCへ?

わたしのお師匠は過去何度も個人的な旅行でイタリアに出かけていますが、
聞けばトリノやミラノと違ってあまり裕福な地域ではない南のナポリやシチリアでは、ここ最近は韓国車が幅をきかせているとか。
更に別の方の話では、イタリア以上に経済危機の差し迫っている、ギリシャ、スペイン、ポルトガルも同様とのことで、
特に嘗てのギリシャは自国メーカーがないことから南欧では珍しい日本車の多いマーケットだったと聞きます。
無論自動車を含む韓国製品の猛威はそれこそ韓国政府のサポートによるウォン安や法人税の引き下げ等で、
日本のメーカーが長年かけて築きあげた世界中の日本車あるいは日本製品のマーケットを食いかかっている有様。
特に欧州では昨年EUと韓国の間で締結したFTA(自由貿易協定)で、日本製品がますます厳しい面に立たされることになります。

そんな韓国メーカーが次はステータスを希求して世界的なモータースポーツシーンに復帰しないのは何故かと最近考えてました。
嘗てWRカーでWRCに参戦していたヒュンダイは2003年シーズン前にFIAが求めるワークスチームの全戦の参加と、
不参戦ラリーがある場合は1戦に付き25万USドルの罰金を支払うことに同意する署名をしたのにも関わらず、
ワークスチームは資金不足を理由に2003年シーズンに4戦を残したまま撤退しましたが、
4戦不参加分の罰金100万USドルをヒュンダイが払わず最近まで揉めていたとか。
競技車の開発からチーム運営まで

丸投げ委託していたイギリスのモータースポーツ企業に碌に資金を提供をしなかったことから、
ヒュンダイにはモータースポーツに金を掛けるという考えが恐らくなかった故に開発も進まず成績を出さないのに、
ワークスチームの不振が活動委託先のモータースポーツ会社にあるとして告発したことはよく知られています。
何でも2003年のヒュンダイのメカニックはホテルに泊まれず、サービステントで寝ていたという話です(^^;;。
因みに2005年モデルの開発を目的に2004年に中途撤退した三菱ラリーアートはとっとと罰金を払っています。

まぁ表題のような話が出るのは、2003年当時のヒュンダイでもはした金であろう100万USドルの罰金を収めたのでしょう。
それに、昨年辺りからWRCの公式サイトの広告にヒュンダイ車が出てきます。これも罰金を払ったという現れかもしれません。

今年から1600ccガソリン直噴ターボエンジンである「グローバル・レース・エンジン(以下GRE)」によるWRカーが登場しますが、
このエンジンの特徴はラリーの場合、昨今のロードカーのようにS2000用2000cc自然吸気エンジンに代わるGREと、
これにWRカー用として所謂WRCキットを付加して出力を上げたGREがあるとのこと。
1600ccターボのS2000は実際の市販車でも同様の傾向が見られることも考慮した結果でしょう。
そして一応同じS2000車両となるWTCC等に参戦するレースカーも基本的に同様の規則に沿ったエンジンを使い、
これは更に来年2012年シーズンからはフォーミュラ3にも使われるとのことです。

ただこのGREはレギュレーションでは1600cc直噴ガソリンターボ他の統一規格であることもさることながら、
これを製作するのはロードカー用のエンジンをベースにしてもGRE専用にエンジンメーカーが独自開発したエンジンでもよく、
これは当然エンジン自体のホモロゲーションをFIAに公認してもらうのですが、
その条件としてこれのシリンダヘッドやシリンダブロックなどの基本コンポーネンツは、
自動車メーカーに廉価で販売を可能とすることがすることが義務づけられています。

例えば今回新規定のWRカーを出すフォード、そしてそして新規参戦のMINIはロードカー用のエンジンをベースに、
シトロエンは独自のGREを開発、WTCC用のシボレー・クルーズは活動を委託されているRMLが開発しましたが、
ヒュンダイが例えば本当にWRCに復帰あるいはWTCCに参戦する場合は、彼らのエンジンの基本コンポーネンツを購入、
それに独自のチューニングを加えたエンジンにヒュンダイの車体に載せて参戦してもいいのです。
無論ヒュンダイがメーカーとしてGREを開発すれば、他メーカーがWRCやWTCC向けにこれを買っても良いのです。

GREは各メーカー間のレーシングエンジンの開発コストの削減と、昨今の環境保護を目的とし、
これによってより多くの自動車メーカーに世界的なモータースポーツへの参戦を促すためのものですが、
仮にヒュンダイがWRCに復帰するとしたら、今シーズンはどのメーカーが優れているかを分析して、
そしてその優れたメーカーのエンジンを買ってきて参戦するのではって気がします。
独自でエンジンを作ると幾ら以前のWRカーよりも安くなったとはいえ、それは多大なコストです。

ヒュンダイ、つまり元の現代財閥ですが、財閥って事はとどのつまりは銀行屋です。
過去に於いてヒュンダイに輝かしいモータースポーツのヘリテージがないのはさておき、
技術者の夢や誇りも必要とせずにヒュンダイがWRCに参戦するとしたら、
彼らは恐らくどこぞのエンジンを買ってくるでしょう。算盤勘定ではそっちが間違いないのですから。

そういう意味では、ちょっと前まで噂のあったトヨタのWRC参戦も同じにおいがしますけど、
同じようにWRC復帰の噂が勝手に燻っているスバルは、絶対自分たちのエンジンを用意するでしょうね。
その昔スバルがWRCチャンピオンを目指した黎明期の1990年、彼らの水平対向エンジンは信頼性と出力不足で、
無冠の帝王で知られる当時のエース、マルク・アレンから「NO ENGINE!!」と罵倒されていたのは有名ですが、
それまでスバルは本格的なモータースポーツ用のエンジンを開発した試しがなかったのです。
その後のスバルのWRCでの活躍とその後ヨーロッパのクルマ好きにステータスが浸透したのは歴史の知るところです。
ヒュンダイ自身には現時点でもモータースポーツ用のエンジンの開発経験がないはずです。
噂が嘘か誠かわかりませんが、誠だったらそれがどう出るのか注目したいところです。

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